保育士のアドバイス!子どもが不登園になってしまったらどう対応する?
我が子のことは何でも分かっているつもりでも、ある日突然、親には決して理解できない行動をとることもあります。
何でこんなことをするんだろう?と考えても答えが分かることばかりではないのが一番悩ましいですよね。
その中でも特に難しい問題として、「子どもが保育園や学校に行きたくないと言い出した時」があると思います。
今回は、そんな子どもが不登園(不登校)になってしまった時の対応についてご紹介します。
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著者:きょう /岡山県/30代後半女性/保育士歴9年
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まずは子どもの話を聞いてみる
「不登園」には必ず原因があります。
それも話しやすいものから話しにくいものまでたくさんです。
そこにはもしかしたら、友だち関係やクラスでのパワーバランスなども絡んでくるかもしれません。
保育園というのは子どもにとって一番大切な社会的な場所であり、この中で学ぶことも多くあります。しかしその一方、人間関係は複雑で、うまく人間関係を築けない場合もあるのです。
そこで、まず、不登園になってしまった原因を聞きだすのではなく、子どもの話を聞くということだけをしましょう。
最初から「何か保育園であったの?」なんて聞いてしまうと、子どもは自分の心の傷をえぐられたような気持ちになるのです。
不登園になってしまった子どもへの対応で一番のNGは「なんで?」と聞くことです。
親からしてみれば、何でだろう?と頭を悩ますのでその解決をしようとしますが、子どもにしてみれば原因が解決したとしても自分の立場は変わらないことが多いのです。
この対応については後で詳しく書きますね。
こうして子どもとコミュニケーションをとるということが、本当に必要で重要なことなんです。
不登校になる原因で多いケース
文部科学省では毎年、学校の実態調査を実施しています。
その調査結果の中に「不登校」に関する統計もあります。保育園の調査結果ではありませんが、小学生や中学生の不登校になってしまう原因を理解することは、子どもを理解することにも繋がりますので紹介します。
このデータを見ると、不登校になる子どもの数は中学生がピークで、高校生になるとガクン、と減る傾向にあります。
もあるんですね。これは中学生で不登校になった場合、高校に進学しないケースが多いためだと考えられています。
小学生から不登校の子どもはいますが、中学3年生に近づいていくごとにその数は増えています。
では、何が原因なのかというと、
・学校生活
・家庭生活
・本人の問題
というのが3つの柱になっています。
中でも、「本人の問題」に関する原因が一番多く、中学生では過半数以上がこの原因であると言います。
「不登校」と聞くとすぐに「いじめ」と結び付けてしまいますが、そうではなく、不登校になってしまう子ども自身の問題が一番多いんですね。
この中身は何かというと
・精神的不安感
・無気力
・病気
などです。
いじめが原因というケースもありますが、それよりも多いのはいじめを除く友人関係ということで、子どもたちは様々な精神的不安の中で生活しているのです。
また他にも、親子関係に起因する場合もあり、家庭環境の急激な変化がきっかけで不登校になるという場合も増えてきているようですね。
子どもが不登園になってしまった際の対応方法
では、実際に不登校になってしまった場合の対応はどうしたらいいのでしょうか?
まず、保育士をしていた私の持論をご紹介します。
それは先ほど「子どもの話を聞く」でも書きましたが、とにかくコミュニケーションをとることです。
お父さん、お母さんからしてみれば、「今日の天気」の話なんかしないで、子どもが今一番心を痛めていることを探し出して、解決してやりたいと考えるものです。それは当然です。
しかし、子どもに理由を聞くというのは一番してはいけない対応なんです。
なぜなら、不登校の原因というのは決してシンプルなものではないからです。いくつかのことがらが大きく絡み合っているからです。その全ての原因をお父さん、お母さんに話す子どもばかりではありません。
自分が「ダルイ」から不登校になった、と子どもが言った時、どうしますか?
「怠けてばかりだとダメだから学校へ行きなさい!」と言ってしまいませんか?
子どもはこの事態を予測して恐れています。子どもが何で不登校になったのか、という原因は少し棚の上にあげておいて、とにかく子どもとのコミュニケーションをしっかりとりましょう。
どんな話でもいいんです。そうしていくうちに子どもが話したくなったら不登校の理由を話すでしょうし、新しい要望を伝えてくれるかもしれません。とっても辛いと思いますが、自分の子どもを信じて待つしかないのかもしれませんね。
そして、一番避けるべき対応もあります。
それは、いつも子どもの前で心配な顔をしていて壊れものに触れるかのように子どもと接することです。
子どもは身近な人の感情には敏感です。自分がそういう立場にある、と自覚すると家庭もまた安心できる場所ではなくなります。
どうしても「不登校」が気になるというのなら1週間に1回ぐらいの頻度でアタックしても大丈夫です。しかし、口うるさくならないように注意して下さいね。
他にも、子どもが不登校になった場合の対応はあります。
例えば、ペットを飼うことも効果的です。
不登校と全く関係ないように思えますが、実はそうではありません。
生き物と触れ合ってお世話をすることで情緒が安定し、不安感が薄れていくのです。ペットを心の支えにして不登校を克服した、という場合もあるようですよ。
他にもいくつかあるので、ご紹介しますね。
・夏休みに開催されるキャンプに行くことで、他の人間関係を築けた
・学校の先生と交換日記をはじめ、その中で先生は「不登校」のことに何も触れなかった
・親ができることをとにかく褒めてくれた
などです。どの対応にも「不登校」を感じさせるものではなく、子ども自身の内面を充実させる体験ばかりです。こうすることで、不登校の子どもは自分が認められている喜びを感じることができるんですね。
まとめ
シンプルですが、とても難しい対応方法を今回はご紹介しました。
しかし、この対応こそが不登校に関する一番良い方法だと思います。
もし、あなたが何か心に傷を持っていて、その傷を毎日えぐられるように話しかけられたらどうでしょうか?その人と、まだ話をしたいと思いますか?
もう口もききたくないと思ってしまいますよね。
親子関係がそうならないように、ぜひあなたの子どもを信じて、豊かな経験をたくさん一緒にしてみてください。
「不登校」というと、子どもの経歴に傷がつくように感じますが、高校進学や大学進学のタイミングで再び学校に復帰する子どももたくさんいます。
長い目で温かく見守る強い味方になってあげて下さいね。