男性保育士の現実について~給料・将来性・求められる役割~
保育士さんは絶対に「女性」じゃないといけない、という時代は終わりました。
保育士になりたいと考える男性は少ないながらも、徐々に増えてきています。
そこで、男性保育士は保育園でどんな役割を担っていけばいいのでしょうか?
男性保育士を取り巻く環境を、給料・待遇から将来性まで、あらゆる角度で見ていきましょう。
----------------------------------------------------------------
著者:きょう /岡山県/30代後半女性/保育士歴9年
----------------------------------------------------------------
まだまだ少ない男性保育士
最近、少しずつ男性保育士の数は増えてきています。
そうは言っても、割合としては保育士全体の2%程度にとどまっており、まだまだ圧倒的な少数派という状況です。
ただ、昔は今より「女性の職業」というイメージが強く、男性というだけで保育園の採用試験を受けさせてもらえない、ということもありました。
今でも、保育施設によっては「男性保育士はお断りさせていただきます。」とする所もありますが、年々その数は減ってきています。
その一方で、男性で保育士を目指す人は20代が一番多く、30代になると極端に数が減ります。
保育士資格を取得しようとする時に、年齢制限はありませんので、基本的に何歳になっても保育士資格の受験はできます。
それでも30代になると、「なりたい!」と考える男性保育士は少なくなるんですね。
保育士になっても自分のキャリアが見えてこない、ここに男性保育士が抱える問題点があるのかもしれません。
男性保育士が園で求められる役割
まずは、男性保育士が保育現場で実際に求められている役割についてご紹介します。
女性の職業というイメージが強い保育士ですが、逆に言えば、男性保育士にとってこの環境はチャンスだとも捉えられます。
なぜかというと、女性保育士ではまかなうことのできない「父性」を男性保育士は子どもたちに与えることができるんです。
最近では、男性の育児参加も積極的になり、夫婦2人で子どもを育てる家庭が増えてきています。
そこで、男性保育士の存在が日常の保育に大きな役割をもたらしてくれるのです。
女性保育士が「母性」を、男性保育士が「父性」を与えることで、保育施設が子どもたちの家庭環境と同じ状態になります。
また、シングルの家庭の子どもにとっても、家では経験できない「父性」というものを与えてくれる場所になりますので、心身の発達には大きな影響を与えることでしょう。
他にも、女性ではできない力仕事をしてもらったり、女性ばかりの職場よりも、男性保育士がいることで防犯対策ができたり、と男性保育士に求められる役割は本当に多いのです。
本当に家庭内でのお父さんと同じ役割を保育施設で行う、といったところですね。
さらに、男性保育士は保護者のお父さん方にとっても、頼られる存在です。
今までお母さんにまかせっきりだった学校行事や、保育園での行事や送り迎えにも、最近ではお父さんの参加が目立ちますよね。
そんなときに、お父さん方は同姓である男性保育士には、日ごろの悩みなどいろいろなことが話しやすくなります。
子どもの成長には、家庭と保育園の連携がとても大切になりますので、こういった場面でも男性保育士は必要とされます。
これらのことを理解して、保育施設で求められる男性ならではの役割分担を行う事が一番重要になってくるんですよ。
男性保育士の給料事情
先ほど、少し書きましたが、男性で保育士を目指す人は30歳を超えると極端に減少します。
これには、男性保育士の給料事情が大きく関わってきていると言えるでしょう。
2015年のデータでは、30歳の男性保育士の平均年収は約358.4万円といわれています。
対して一般的な男性会社員では、30歳での平均年収は約438万円となっています。
年収80万円の差はとても大きいですよね。
しかも男性に限らず、保育士というのは公立保育園を除けば昇給はほとんど見込めません。
30歳以降も、給料の差は広がっていく一方です。
「男性だから」という理由で年収を底上げするというのも、保育施設においては難しいでしょう。
それどころか、保育施設によっては年収が300万円に満たない場合もあります。
このことから、30歳を過ぎてから保育士になろう、と考える男性保育士は少なくなるということがあります。
また、公立保育園に就職する場合は、公務員試験を受けることになりますよね。
試験を受けるには年齢制限があり、自治体によって異なりますが大体30歳前後に設定されていることが多いです。
30代になってから保育士資格を取り、求職活動を始める、というのも難しいのです。
男性保育士の将来性はどうなってる?
このように、男性保育士は平均年収が一般的な会社員と比べて約80万円程度低く、ベースアップも見込めません。
主に、男性保育士の就職先としては公立保育園が一番人気です。
しかし、公立保育園は採用試験が難しく受ければ合格するという人ばかりではありません。
男性保育士になりたい!と考えていても、迷ってしまう人も多いのです。
しかし、保育現場では「父性」を持つ人を求めています。
これは女性保育士には決して埋めることのできない部分ですよね。
なので、求人情報などを見てみると、男性保育士を積極的に受け入れている求人もあり、需要が大きくなってきていることがわかります。
一方で保育士の処遇改善問題というのは、今まさに取り組まれ始めた問題で、まだまだ先は長そうです。
これを考えると、結婚や家庭を持ち、男性保育士だけのお給料で家族を養うというのは難しいですよね。
しかし、こんな時こそ、伴侶の協力が必要になります。
1人で難しいのなら、一緒に頑張っていくれる相手を探せばいいのです。
また、男性保育士としてスキルアップしたい、と考えるのなら男性保育士であるということを有利にしてくれる資格を取るのはいかがでしょうか。
例えば「幼児体育」などの資格です。
この資格を持っていれば、体育に関する指導ができますので他の保育施設などで講習を行うこともできます。
講習を行えばその分、別途で手当てをくれる保育施設も多いんですよ。
男性保育士を取り巻く環境は厳しいかも知れませんが、だからこそ将来にも安心して使うことのできる資格を何か持っておくと安心ですね。
まとめ
男性保育士という職業には、まだまだ世の中の理解が及ばない部分もあります。
厳しい現実ではありますが、それでも経験やスキルを磨いて男性保育士にしかできない働き方をしている人はいます。
もしあなたが「大変なことは分かっていても、それでも保育士として働きたい!」と強い気持ちを持っていれば、それは必ず成し遂げられます。
諦めずにがんばって、貴重な男性保育士として活躍してくださいね。