【経験者が伝授!】保育指導案の書き方マニュアル
保育士の業務のなかで、一番頭を悩ませるのが指導案かもしれません。
指導案にはそれぞれ役割があり、自分の担任のクラスの雰囲気も考えないといけないので、指導案作りが苦手という方も多いのではないでしょうか。
でも実は、やっていることはとてもシンプルなことで、「子どもが成長をするには何をしてあげればいいのかな?」ということを少しずつ具体的に書いていけばいいんです。
ちょっと考え方を変えてみるだけで、楽しく書けるようになる指導案。
簡単なマニュアルを作ってみたので、ご紹介しますね♪
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著者:きょう /岡山県/30代後半女性/保育士歴9年
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保育指導案のおさらい
「もう長い付き合いだから分かってる!」という人もいるかと思いますが、おさらいの意味も込めて役割を見てみましょう。
■年間指導計画
年間指導計画とはその年度を通して、
・目標とすること
・達成したいこと
・その目標を達成するためにはどんなアプローチをいつ頃行っていくか?
といったことを書くものです。
保育園での活動が1日完結の内容ではなく、進級や卒園の時に大きく成長できるようにしていくための計画なんですね。
■月案
月案では、月ごとの目標や活動内容を書き込む指導案です。
年間指導計画を達成できそうかを考えて、じゃあ来月はどういう活動をすればいいんだろう?と作っていきます。
■週案
週案は3歳以上と3歳児未満では要項が違います。
3歳以上の週案は要項が月案と似ている所があり、3歳未満は少し簡略化されたものになります。
どちらも、週を通しての目標と、それにともなう毎日の活動などを記録していく指導案です。
■日案
日案では、その日の活動の手順や目的を計画します。
基本的に、「自分以外の誰がその日の保育に入っても活動が行える」ように細かく計画を立てていきます。
時間などの指定も必要になるので、書くのに想像力が必要な指導案ですね。
保育指導案作成のポイント
■ポイント1.年間計画をまず考え、連続性のある指導案にする
指導案を書くときは、まずは書く順番を意識することから始めましょう。
当たり前のようですが、業務に追われているとついつい目の前の指導案ばかりにこだわってしまいがちですよね。
まず最初に書かなくてはいけないのは年間指導計画です。
これは自分のクラスだけで決められない場合もありますよね。
同じ年齢のクラスが他にあるのなら、そのクラスとねらいを一緒にしたり活動に関わりを持たせたりということも必要になります。
そしてそこから月案に落とし込んでいくのですが、ここで具体性をしっかりとつけていきます。
イメージとしては年間指導計画に肉付けをしていく感じですね。
ねらいもその月によって変えていかなくてはいけませんが、先月の活動でそのねらいが達成できていない、と強く感じるのなら継続して同じねらいを入れてもいいです。
さらに週案では、月案を活動レベルまで噛み砕いて書いていきます。
年間指導計画でこういったねらいがあるから、月案でこれを目指す、そのために週案で「この週にはこれに力を入れますよ」というのを示すんですね。
そして日案になると、前日での経験や体験を考える必要があります。
「昨日はこういった活動をしてこんな成果があったから、今日はこうしてみました、明日はこうしていきたい」と活動が膨らんでいく様子を計画するといいですね。
これら全てが1つに繋がって、「だからこの年間指導計画のねらいになっているんだ!」と納得できる内容になっていればいいのです。
■ポイント2.子どもの発達を把握して「ねらい」を決める
ではどういったことを基準にねらいを決めればいいのでしょうか。
それには、クラスの子どもたちの発達が大きく関わってきます。
子どもの姿を無視してねらいを決めることは本末転倒ですし、そのクラスの指導計画案としては意味をなしませんよね。
例えば、トイレトレーニングなどでは子どもたちの足並みがそろうということはほとんどないでしょう。
完了している子もいれば、まだまだ間隔が決まっておらず何枚もパンツを濡らしてしまう子もいます。
この両者がいる場合でねらいに「トイレトレーニングに励む」というのはどうでしょうか?完了している子にとっては意味を成さないねらいになってしまいますよね。
ここではトイレトレーニングが完了している子どもに注目して、その子どもはどういった感じで完了しているのか考えてみましょう。
保育士に促されてトイレに行くのか。それとも自分で尿意を感じてトイレに行くことができるのか。
もし、保育士に促されてじゃないと行けないのだとしたら、「自分で判断する力」というところが不十分ですよね。
完了していない子も、「自分で判断する力」がつけば自分でトイレに行けるようになるかもしれません。
こういったところをねらいに盛り込んでいくと、そのクラスに沿ったねらいになると思いませんか?
■ポイント3.園の方針や、先輩の指導案からヒントを得る
指導案を書く時に、どうしても思い浮かばない!という場合は園の方針に戻ってみましょう。
保育園は園の方針に基づいて活動や行事を計画します。
例えば園の方針が「明るく素直な心をはぐくむ」でしたら、ねらいに「楽しく活動する」や「気持ちを素直に伝える」などと言ったものを盛り込んでみてはいかがですか?
ねらいが決まればそこから活動が考えられますよね。
指導計画案でつまずきやすいのは子どもの活動に重点を置きすぎて、ねらいがあやふやになってしまうところです。
この土台さえしっかりしていれば、活動も上にきちんとのってきます。
また、指導案というのは、書き方テンプレートといったものがあるようでない書類です。
書き方をどうしたらいいのか、というところに悩む人も結構いますよね。
そこで、先輩の指導計画案を参考にして、自分が読んで一番読みやすいと思った書き方を真似してみましょう。
もちろん丸写ししというわけにはいきませんが、書き方ぐらいは参考にできますよね。
あなたが読みやすい、と感じるということはその先輩の指導案が優れているという証拠です。たくさんの例を見て、いいところを真似しちゃいましょう。
真似をしているうちに自分らしいアレンジができるようになって、少しずつ自分の書き方が身についてきますよ。
■ポイント4.主体の統一
指導計画案を書く中で、実は主体を統一するというのはとっても大切なことです。
どういうことかというと、たとえば指導計画案の中で予想される活動を書くかと思います。
ここで「外遊び」について記入したいとき、あなたなら何と書きますか?
「外遊びを楽しむ」?それとも「外遊びを楽しめるようにする」?
この場合、前者は子どもの目線で、後者は保育士の目線です。
どちらが正解ということはありませんが、この主体が活動のたびに変わってしまうと統一感の感じられない書類になりますよね。
例えば「外遊びを楽しむ」⇒「保育室で休憩できるように準備する」となっていたらどうでしょうか?
何が子どもの活動で、どこまでが保育士の援助か分かりにくいですよね。
項目が「子どもの活動」「保育士の援助」と分けられているのなら、この項目の主体は誰なのか、ということを一番に考えて書くというのも、他の人に伝わりやすい指導計画案になると思いますよ。
同じように、文末の言葉も「ですます」と「である」が混ざらないように気をつけましょう!
まとめ
指導計画案と言うのはその種類が多く、ねらいや活動がマンネリ化してしまうということがあります。
そこで一番に考えてほしいのは、他の人が読んでみて分かるか、分からないか、ということです。
自分が読んで分からないことは他人には絶対に伝わりません。
まず自分が読み返して分かりにくいところはないかチェックする事から始めましょう。
できれば他の人に読んでもらってチェックしてもらうことも、指導計画案をスキルアップさせるために必要な事になってきますよ。