海外の保育士ってどんな仕事してるの?世界の保育事情をご紹介!
あなたは、海外の保育園ってどうなっているのか知っていますか?
国内では保育士の需要は大きく、求人情報もたくさんありますよね。
世界に目を向けてみるとどうでしょうか?
調べてみると、世界中で保育の需要はありましたが、日本のような「保育園」といった形以外にもたくさんの保育の形がありました。
そこで今回は、世界の保育事情についてお話したいと思います。
----------------------------------------------------------------
著者:きょう /岡山県/30代後半女性/保育士歴9年
----------------------------------------------------------------
世界中で必要とされる「保育」という仕事
文化によって違いはありますが、子どもが生まれても四六時中親がそばで見守るというのは、どこの国でもなかなか難しいです。
そのため日本と同様、海外にも保育園のような施設はたくさんあります。
国は違えど、子どもを保育する基本は変わりません。
保育士は世界中で活躍できる仕事なんですね。
ところで、海外で働く=他の言語を巧みに操らなくてはいけない、というイメージをお持ちではありませんか?
最近では、そういった職場ばかりではないんです。
日本の企業は、海外進出がめざましいですよね。
労働賃金の安い国に大きな工場を作っていたり、海外支社を建設してみたり・・・といったところです。
ここで働くために企業からは人員を派遣して働いてもらうわけですが、この時、その会社員の家族も一緒に渡航することになります。
この時、小さな赤ちゃんがいる家庭では、お母さんが働いていない場合はそこまで困りませんが、そうでない場合は海外の保育施設を利用しなくてはいけませんよね。
そうした事情もあり、最近では日本人向けの保育施設も多くあり、そこで働く保育士さんが必要になっているんです。
しかし、海外で働こう!と決めたとしても、各国によって条件や必要な資格などが変わってきます。求人に応募する前には注意が必要です。
また各地域では保育士に求められる役割も変わってきますので、世界の保育事情をご紹介しましょう。
アメリカの保育事情
アメリカでは保育施設が充実しており、赤ちゃんの時から預けることができます。
また保育施設に預ける以外にも、ベビーシッターを頼み、子どもを見てもらって働きに出かけるという家庭が多いですね。
しかし、そのベビーシッター代というのは馬鹿にならず、なんと毎月30万円程度払わなければいけないという場合もあるようで…。低所得者にはなかなか捻出できないという問題点もあります。
また、デイケアと呼ばれる2歳以下の子供たちが通う施設も、利用料が月10万円程度で、所得者層を選ぶ施設になっているというのがアメリカの問題点ですね。
しかし、その分、ベビーシッターに至っては、高いクオリティを求められ、気に入られなければすぐに「クビ」になってしまう場合もあります。
お給料はおそらく、日本の保育園に勤めるよりたくさんもらえるでしょうが、その分クオリティや責任が強くなってくることでしょう。
では、3歳以上の子どもを預かる保育施設はどうなっているのか?
保育士資格を持っていれば働ける日本とは違い、アメリカでは「学位」が必要になります。
これはアメリカには保育士の資格がないので、その代わりに学位が必要になるんです。
こうしたことを考えるとアメリカの保育施設で働くにはきちんとした下積みが必要になってくるかもしれませんね。
アジアの保育事情
アジアでの保育事情も特殊なものがあります。
一般的に、アジアで保育士として働く平均月収は18~20万円となっており、日本とそう大差はありません。
そこで、特に注目すべきベトナムとタイについて詳しくご紹介します。
ベトナム
ベトナムは世界一「幸せの国」といわれているほど、国民の幸福度が高い国でもあります。
ベトナムは日系の保育施設が多い国で、日本人が働く場合ベトナムの言葉を話せなくても問題はありません。
更に、日本のような雑務に悩まされることはなく、掃除などの雑務はベトナム人のアシスタントさんがしてくれます。
本当に保育に専念することができ、日本の職場で見られるような上下関係もほとんどない環境にあります。
更にお給料ですが、ベトナムは物価が低く、日本と同じお給料だったとしても、自分のために使えるお金が増えるんです。
家賃に5万円持っていかれるのと、家賃が1万円で済むときは、差額が4万円もありますよね。
このことから、とても充実したベトナム生活を送れる人が多いのです。
タイ
タイも仏教国でベトナムと似たような印象を受ける国ですよね。
しかしその内情はというと、身分制度が厳しく、優しい雰囲気とは裏腹な面もあるようです。
保育施設は充実しており、メイドさんも結構お手軽に頼むことができます。
なので、子供だけをみるベビーシッターさんという枠組みではなく、家事全般をメイドさんがする、といった役割を求められることも多いのです。
女性が働くことに抵抗のない国なので、女性が社会進出する機会はたくさんあります。
その一方で何でも「ダイジョウブ!」と片付けてしまう事が多く、場合によってはとても低い保育サービスを展開している所もあるようです。
タイで働くのなら求人情報をしっかり読み取り、口コミなどで評判の良いところを選ばないといけませんね。
ヨーロッパの保育事情
ヨーロッパも国ごとに特色が異なるので、今回はイギリスとスウェーデンを詳しく見てみましょう。
イギリス
「霧の国」とも言われるほど霧が発生する日が多いイギリスですが、ここでの保育事情はどうでしょうか?
イギリスは「ナニー」と呼ばれる乳母制度発祥の国です。
そのため、「大勢の子どもに保育士1人」といった体制よりは、「1家庭に1人のナニー」といった、対個人の保育形態が多いようです。
そのため、アメリカ同様、クオリティによっては保育料が高額になることもあり、高い水準を求めるのなら保育料をたくさん払わないといけない、といった下地があります。
また、保育施設でも登園時間は決まっておらず、自分の好きな時間に登園することができます。
毎日通わせるという人はほとんどおらず、週で大体15時間程度預ける家庭がほとんどです。
何故こんなフレキシブルな保育施設が成りたつのかというと、そこにはイギリスの就労環境があります。
子どもができると、保護者は仕事を週1日程度のものに転職したりして、子供中心の生活を始めます。
このため、保育施設に重きを置く人はほとんどおらず、教育熱心な人は高い保育料を払っているんですね。
なので、あまりにも安い賃金で働くことになると、色んな家庭をかけ持ちすることになります。
そうしないとお給料がほとんど貰えないというのも、イギリスの実情です。
スウェーデン
北欧に位置するこの国は福祉大国としても有名ですよね。
それはもちろん保育においても同じことで、待機児童数は「0」という驚異の数字を叩き出しています。
というのも、スウェーデンでは保育園に入りたい、と申請するとそれから3~4か月までにどこかの保育園に籍を置けるようにしなくてはいけない、という決まりがあります。
また保育士の地位や月給がとても高い水準にあるというのも理由のひとつです。
あわせて、子育て世帯への福祉も強く、育児休暇中も月給の8割を支給するという経済的支援もばっちりです。さすが福祉大国といったところですね。
さらに、子どもを持っている家庭は就労時間が一日6時間までと決められています。
保育園の開園時間自体が少なく、日本より保育士の負担が少ないんですよ。
受け持ちの人数も、子ども6人に対して保育士1人といったシステムで、とても手厚い配置になっています。
小規模保育で、ここまで働きやすいというのは魅力的ですよね。
アフリカの保育事情
アフリカといえば、まだまだ諸外国からの支援が必要な国ばかりで、ボランティアとして渡航するというイメージが強いかもしれません。
確かに、「海外青年協力隊」などでは、毎年多くの日本人がボランティアでアフリカの諸国に行っています。
では、そんなアフリカの中でも南アフリカとケニアについてご紹介します。
南アフリカ
南アフリカはアフリカの中でも比較的発展しているようなイメージがありませんか?
そんな南アフリカでは人種差別の問題がいまだに根強くあります。
保育園についても同じで、都会のケープタウンなどではそこまで目立ちませんが、そうでない地域に行ってみると、「黒人」と「白人」に分けられた保育園というのも存在します。
しかし、徐々にではありますが、人種によるわけ隔てのない保育園も作られ始めています。
基本的に保育方針は「しっかり遊ぶ!」といったところで、保育園は「教育を受ける場所」というよりは、「皆で楽しく遊ぶ場所」という役割が多いです。
しかし、子供、特に乳幼児へのケアの仕方にはまだまだ注意するべきところがあり、1歳の子どもに着色料がバンバン入っているおやつを与えたりもしています。
日本人の保育士が行くとあまりにも常識外れの行動に驚くことではありますが、「自分で保育園を変えていきたい!」と感じている人には、とてもやりがいのある環境ではないでしょうか?
ケニア
ケニアは昔と比べると随分と平和になりました。
それでも近隣の国では内戦が起きたりテロが起きたり・・・毎日平和というわけにはいきません。
そのため、保育園というものより、孤児院の方がよく見られます。
もちろんこれは、無償でのボランティアです。
子供たちも生きることに精一杯で、教育がほとんどされていないようです。
子どもの発育に力を注ぐことのできる、とてもやりがいのある職場環境ともいえます。
しかし現実的に、保育士としてケニアで働き、暮らしていくには非常に多くの困難が待ち構えていると思われます。
海外で働きたい保育士が注意するべきこと
海外で働く時に必要なものといえば、就労ビザです。
就労ビザを取得するにはお金がかかるのですが、一般的に20~50万円が必要といわれています。高額なアメリカの場合は、100万程度かかることもあるようです。
さらに他にも、各国によってはビザに求める条件や資格が異なったり、期限が限られていたりもします。
その国の治安を調べることも必要になってくるでしょうし、人気の国、特に「アメリカ」や「ヨーロッパ」などになると求人は競争率が日本よりも高くなります。
しっかり下準備して、無用なトラブルは避けたいですね。
まとめ
いかがでしたか?
国が変われば保育環境も変わります。
朱に交われば紅になれ、ではありませんが、その国のやり方に染まるということも必要になります。
もし、今あなたが日本での保育の仕事に限界を感じているのなら、もっとグローバルに目を向けていくのも素晴らしい選択肢ですね。