子どもを成長させる「食育」、保育園ではどんなことしてるの?
「食育」という言葉は、子どもを持っている保護者なら一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
それぐらい最近では、食育への関心が高くなっています。
保育施設によっては食育に何よりも力を入れている!という特色を持っている所もあるくらいです。
しかし、一口に食育といっても「具体的に何をすればいいのか分からない」という方もいらっしゃいますよね。
そこで今回は、保育園でおこなっている食育を紹介しながら、家庭でできる食育についてもお話します。
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著者:きょう /岡山県/30代後半女性/保育士歴9年
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食育ってそもそも何?
食育の目的
食育とは、食に関する知識を身につけ、食を選択する力を養うということを目的にしています。
子どもたちは、毎日食卓に並ぶ食べ物が一体どうやってできあがり、どんな風に料理されて出てきているのか・・・なんてあまり知りませんよね。
特に年少の子どもなら「お肉」ということの認識も難しいかもしれません。
ここに出ている「お肉」は一体何のお肉で、誰がどんな風にしてくれて給食になっているのか・・・
こういったことの気付きを促すというのも、保育園での食育の大きな使命ではないでしょうか。
もちろん、保育園だけで食育は取り組まれているわけではありません。
年齢が大きくなれば小学校でも食育を取り組むでしょうし、家庭での食育というのも、大きな役割を持っています。
食育には資格もある!
また、2005年に「食育基本法」が制定されたことを受け、食育資格というものが登場しているのはご存知ですか?
食育の基本的な考え方を共有するとともに、様々な食育のアプローチの仕方から細かく資格が分かれているんです。
例えば「フードコーディネーター」や「食育インストラクター」などといった資格があります。
取得は初心者向けの資格ならそこまで時間はかかりません。
この食育資格を持っていれば正しい知識を子どもたちに伝える事ができますので、保育士の方はあわせて取得しておくと、活躍の場所が増えそうですね。
保育園ではどんな食育を実践してるの?
給食
保育園は、ほとんどの施設で完全給食を実施しているかと思います。
実はこの給食も食育に大きな意味をなしてくるのです。
それはなぜか?たとえば、毎日の献立の掲示を思い出してみてください。
サンプル食をどこかに掲示しているというところもあるのではないでしょうか?
献立表を見ただけでは良く分からない給食も、こうしてサンプルをおいておくことで、ご家庭に「こんなメニューを提供していますよ」ということを伝えられます。
子どもが何を食べているのか分かると保護者の方も安心ですよね。
また、個人にあった給食を提供するのはとても大切なことです。
保育園には0~5歳児まで様々な年齢の子どもたちがいます。
なので、それぞれの発達段階に合わせて調理法や柔らかさを変えたり、アレルギー除去食を設定したりしています。
他にも、季節の変化が食でも分かるように、行事があるのならその行事に沿った献立を提供することも多いですね。
例えば「子どもの日」の近くなら「柏餅」が出たり、「七夕」には「そうめん」などが並ぶ時もあります。
行事と食事の楽しさをリンクさせることで、子どもたちは多彩な食文化に触れることができるのです。
調理実習
保育園の調理実習は、親子でクッキングをするところもあれば、子どもだけでする場合もあります。
家でするお手伝いとはひと味もふた味も違い、友だちと一緒に調理する楽しさや、できあがった達成感を味わうことを目的としています。
こういった調理実習で扱われるメニューは、子どもたちが実際に手で触ってこねたりできるものが多く、素材そのものの質感を感じることができるメニューになっているんですよ。
また「餅つき」を行う保育施設も多いですね。
親子で参加することで季節を行事から感じる感性を養ったり、つきたてのお餅という特別な行事食を体験することができるんです。
農作業
本格的な農作業は無理でも、園庭の片隅で野菜の苗を育てることはできます。
自分たちが毎日お世話した野菜は子どもたちにとっても特別でしょうし、大きく美味しくできあがり、野菜を収穫するということは何ごとにも代えがたい体験になるんですよ。
ひとつ、私の体験をお話したいと思います。
保育園で働いていると、「じゃがいも」を植える時に、「どうして種を植えないの?」と聞いてきた子どもがいました。
「じゃがいもは種イモを植えて収穫するもの」というのは大人には常識ですが、今までそういったことに触れてきていない子どもにしてみれば、何とも新鮮な体験だったことでしょう。
実際に土や苗に触れることで、野菜を育てる畑の役割に気付き、どうすればおいしい野菜が収穫できるのか、ということまで考える子どももいることでしょう。
また、自分で収穫した野菜は苦手なものでも少しずつ食べるのを頑張ろう!とする子どももいて、とても奥深い体験になると思います。
家庭でできる食育って?
子どもたちが食育を学ぶのは、何も保育園だけではありません。
おうちに帰れば、おうちでご飯がでます。
この、「おうちのご飯」が果たす食育の役割もとても大きいんですよ。
しかも、乳幼児期の食習慣は一生を決めるとも言われています。
保育園だけで食育を真剣に取り組んでも、家庭との連携がなければ、やはり子どもの身には付きません。
そこで、保育園の食育と家庭の食育をつなぐ懸け橋となるのが保育士の仕事なんです。
では家庭ではどんな食育ができるでしょうか。
実はこの5つのポイントに気をつけて取り組むだけで十分なんです!
1.お腹がすくリズムが作れる子ども
2.食べたいものや好きなものが増える
3.一緒に食べたい人が増える
4.食事作りや準備に関わる
5.食べ物の事を話題にする
もしかしたら難しいと感じる方もいるかもしれませんが、これらは全て、基本的な生活習慣の上に成り立っている目標なんです。
例えば「お腹がすくリズム」を身につけるためには、「早寝早起きをして3食の食事の時間をあまりずらさないようにする」といったことができます。
早起きしないと保育園の登園時間に間に合わず、朝食を抜いてしまう子どもも出てきてしまいます。
保育士は、「普段の生活の中に、食育に繋がることがたくさんあるんですよ」と保護者の方に伝えていく必要がありますね。
まとめ
食育は本当に奥が深く、子どもの一生を作用する大切なものです。
子どもの体は子どもが口にしたものでしかでき上がりません。
ぜひ、健康な食生活を心がけて子どもの健康を守っていきましょう。
それと同時に家庭との連携を深めることでバランスの良い食育をしていきたいですね。