保育士ってどれくらい忙しいの?経験者が語る現場の実態
保育士をしています。と話すと、だいたい「じゃあ忙しいですね!」という反応が返ってきます。
保育士=忙しい
というイメージは世の中でも定着しているようです。
今回は、実際どれくらい忙しいのかを保育士経験者がご説明しましょう。
朝は7時から、夜は8時まで
保育園のお預かり時間は朝の7時から夜の8時までが一般的です。つまりその間は保育園が開園しているため、保育士が仕事をしていると考えて良いでしょう。
シフトでは8時間労働が定められていますが、実際には8時間で仕事は終わりません。
今日の活動の準備ができていない場合、8時から出勤する普通番であっても、7時には保育園に来て仕事をするということもあります。逆に、定時後に書類仕事をしたり制作物を作ったりしています。つまり、保育園の電気がついている間はずっと働き通しということです。間違いなく忙しいですね。
一人で複数の子を見る仕事
保育士の仕事は、ベビーシッターのように1対1ではありません。常に複数の子どもを見なければいけません。お昼寝の時間は平穏……と思われていますが、一人の子が寝なかったり、お昼寝の最中に体調不良の子が出てその連絡で追われている間に15時のおやつの時間になってしまったり。
オムツ替えや調乳も絶え間なく行われます。保育士の気の休まる時間は1分もないのです。
休みの日だって多忙
やっと訪れた週末。月曜日〜金曜日まで働いた分、リフレッシュタイム!といきたいところですが、多くの保育士は家に仕事を持ち帰ります。月曜日に提出しなければいけない翌週の週案であったり、月末が締め切りの月案。保育園に勤務している時間では終わりきらない仕事は、休みの日にまとめて片付けているのです。
どこかに旅行に行く時ですら、新幹線の中でパソコンを開いて指導案を作成している保育士もいるほどです。
行事前は終電まで働くことも
保育士が最も忙しい時期。それは行事前です。
運動会に生活発表会、入園式、卒園式。飾り物を作ったり、衣装や大道具の作成。保育士の出し物の練習から、隣のクラスとの合同練習。そんなことをしていたら、保育園から帰るのが終電ギリギリに。
行事前には、とにかくやることがたくさんあります。そして、やっと1つの行事が終わったと思えば、また次の行事の準備が始まります。1年を通して心が休まる期間など無いのかもしれません……。
年度の変わり目はバタバタ
3月末はクラスの締めくくりであり、次年度の準備も並行して行わなければいけません。言うまでもなく、大忙しの月です。
特に年長児の担任はてんてこまい。卒園式の準備や、小学校へ提出する書類作成、保護者への挨拶に卒園児へ渡す記念品作り。乳児クラスとは違い、年長児の担任は基本的に一人です。複数担任でないため、これらの仕事はすべて自分でやらなくてはいけません。
さらに、次年度の担当クラスの準備もしなければいけないことを考えると……その忙しさは想像を絶するほどです。
研修は修行?
保育士は常に勉強していかねければいけない職業なので、研修に出掛ける機会も多いです。研修の中には、土日を使って行われるものや、定時後に行われるものもあります。
私が経験した研修の中で一番過酷だったのは、金曜日の夜に飛行機で他県に飛び、土曜日は地方の保育園の視察、日曜日に著名な先生のセミナーを受けて、その日の夜に飛行機で地元に帰ってきました。そして翌日月曜日は朝から通常通り保育を行いました。
こんな過密なスケジュールの中で研修を行っても、せっかく勉強した内容が頭から飛んでしまいそうでした。
保育士が忙しさにより失うもの
これだけ多忙だと、失うものも多いハズ……。実際にどんな実害があったのかを振り返ってみます。
◆おしゃれをしている暇がない
美容室に行っている暇もなければ、退勤後にジムに行って体を引き締めることもできません。おしゃれをしたくても、時間的にも体力的にも余裕がなく、結果髪の毛はボサボサ…スキンケアも適当に…という惨事が訪れます。
◆恋人と会う時間がない
付き合っている彼がいても、仕事が忙しすぎてゆっくりと会う時間がありません。土日にデートに誘われても、行事の後なんかは疲れているのでデートより睡眠を選んでしまったり。そんな理由で別れた保育士さんを何人も見てきました。
◆自分と向き合う時間
毎日子どものことを考えることで精一杯になり、自分と向き合う時間が減ってきます。ボーっとできる時間は、保育園のトイレ掃除の時だけ……なんていうこともありました。
「自分がこれからやりたいこと」「今の仕事のままで良いのか」など、意識して考えないと、忘れてしまいがちです。
◆家族との時間
家族と同居している保育士は、家族団欒の時間も仕事に奪われてしまいます。結婚をして子どもがいる保育士は、「家に帰ると疲れてしまって、お母さん業ができない」と嘆いていました。
以上、保育士の忙しさの実態についてお話しました。
忙しい日々が続くと、自分のことがないがしろになってしまいます。本当に今のままでいいのか?転職の準備をしなくてもいいのか?など、たまに自分を見つめる時間を作ってみてください。
「忙しい」に始まって、「忙しい」で終わる1年とは、お別れできるかもしれませんよ。
著者:東京都在住 20代後半 女性 元保育士
参考サイト:忙しい保育士が毎日チェックしてる保育園の募集情報