「 NHK取材受けたの私だ 」 現場の保育士が伝えたかった事
今回ご縁をいただいて、なんと保育士の現状を伝えるテレビ番組(NHK首都圏ニュース)の取材を受けました。 もちろん、テレビに映ると言うのは初めての経験ですので、楽しんでさせていただきました。
一生のうちに何度もあることじゃないと思うので、レポートしてみたいと思います。
オンエアー日時は、2016年11月2日午後6時10分~
▽保育士の窮状を教えて 情報発信に現金支給!【キャスター】山田大樹,合原明子,【気象キャスター】関口奈美
- 「保育士のことを、もっと世間に知ってほしい」そのための取材
- 取材前日。保育士の現状をありのまま伝えるための準備
- いざ、取材当日。
- 「辞めたい。」我慢の果てに退職してしまう保育士のこと
- 私が考える、「保育士不足」を解消する方法
- 保育士らしいカットの撮影
- 保育士の待遇を知ってもらうため、給与明細も思い切って公開
- 普段の生活の様子もちょこっとだけ撮影
- 残業、書類仕事・・・伝えきれなかった保育士の現実
- 厳しいことだけじゃない、やりがいも大きい保育士の仕事
- 最後に・・・
「保育士のことを、もっと世間に知ってほしい」そのための取材
まずはお電話での取材ということで、30分ほどお話しさせていただきました。
まず印象的だったのは、テレビ局の方から言われたこんな言葉。
「一番悲壮感が少ないと言うか、衝撃が少ない方だから、と○○さん(=私)を紹介してもらったのですが、読んでこれが一番ましな方なのかと驚愕しました。」
半年ほど前の保育園に入れなかった保護者の方のブログ一件から、保育士の仕事の過酷さや待遇の悪さは話題になっていますが、それでも、まだまだ現状は伝わらないのですよね。
保育士の現状が伝わらないと『ただ仕事に不満を持っている人、不平を言っている人』と思われてしまいます。
実際に、保育士がなぜ現状を訴えないで辞めると言う方法を取ってしまうか、というのもココにあると思います。
仕事の不満、よくないところ、改善点を上げることは、保育の現場でなんとなくタブーのようになっているところがあります。
これではよくなっていくものもよくなっていかないなと、改めて感じました。
そのほか、なぜ私が保育士になったのか、なぜパート勤務に変わったのかなどをお話しすると、何かのお役にたてる部分があったのか、取材をしていただくことになりました。
就業日などをお伝えし、空いている日で取材を調整していただき翌日ご連絡をいただきました。
のんきに構えていましたが10日後くらいの放送を予定しているそうです。テレビの取材というのは、なかなか忙しいものなのですね。
取材前日。保育士の現状をありのまま伝えるための準備
そして次は前日にご連絡をいただきました。 基本的にはご質問いただいたことにお答えするという形式でお話をさせていただけばいいようで安心です。
いくつかお願いできるかお聞きしたいと言うことでした。
保育園の写真は公開せず
まず、保育園の様子がわかるような画像がありますか?と言われましたが、画像は申し訳ないのですがお断りました。
もちろんわからないようにしていただけると言うことではあったのですが、私以外の画像が入るのはたとえ加工されていても申し訳ないので、と伝えると、無理なことは無理で大丈夫ですよ、といってもらえました。
保育士の窮状を伝える、実際の「お給料明細」
また、給料明細を見ることはできますか?ということも聞かれました。
もちろん個人情報については念入りに隠していただけるとのことでしたし、今回保育士の窮状を伝えるには、薄給であることも伝えたいと思っていましたので、思い切ってお見せすることにしました。
そんな打ち合わせは、前回話していたこともあり、全部で10分程度でした。
後は家を片付けるだけです。 普段はさぼりがちの家の片づけをするいい機会になりました。
いざ、取材当日。
当日は、記者の方と、カメラマンの方と、音声の方、3名の方がいらっしゃいました。 聞けば、いろんな場所から来られているとのこと。 そんな記者の方のお話を伺うのも楽しいですね。
記者の方とお話をしていると、ほかの方はリビングをみまわしていました。あとで撮影する方向やアングルなんかを考えていられたようです。
「辞めたい。」我慢の果てに退職してしまう保育士のこと
なぜ保育士になったか、保育士を目指し資格を取ったのに、なぜパート勤務になったのかなど、質問されてお答えしていました。
お話をする中で、保育士たちが自分の窮状について訴えることなく、我慢の限界になるまで我慢し、退職してしまっている現状についての話になりました。
私自身も、ここで自分自身の考えや想いを発信するチャンスをもらいましたが、それまでは不満に思うことがあっても、せいぜい身内に相談する程度だったことを思い出します。
若い保育士などはもっと発信する方法がわからないでしょう。
今回の取材もそうですが、自分の思っていること、保育士の現状についてお話をするチャンスをいただけたことはラッキーだったと思うし、この機会を生かして発信することは私の義務と言えるかもしれない、と思いました。
話しているうちに、緊張と興奮と、ライトのまぶしさで涙が潤んできていたようで、それも気づかずに話をしていたのですが、「涙を拭きますか?」と言われました。
興奮しすぎて気付きませんでした。
落ち着くためにお茶を飲んだりして一休みしながら撮影されました。
そういえば、記者の方からおいしいお菓子をいただきました。このお菓子についてのエピソードは後ほど。
私が考える、「保育士不足」を解消する方法
後半は保育士がぎりぎりだから大変だと言う話でした。
保育士の配置が少なくてトイレに行くこともできないことや、掃除、洗濯などは保育時間外に行っています、ということをお話ししました。
某ドラマの決め台詞ではないです。
「資格がなくてもできる仕事は致しません」と言いたくなります。
また、書類や雑務などの業務を軽減するために業務改善をしようと思っても、その動きをなかなか容認しないところがあるのも問題だと感じました。
給料や人員など、すぐには改善できないことも、業務改善することで少し負担が減って、 保育士が働きやすくなれば、仕事を続けられる可能性が出るのではないかという話をしました。
保育士らしいカットの撮影
次は、保育士らしい様子を撮影されました。
まずは保育士試験を受けた時の参考書をお見せしたところ、そのカットも撮られるようで 線をひきながら読んだり、持ち上げて読んだりしました。
資格取得の時に書いたレポートなんかも出して、なんとなく映ったかもしれません。
なんでもとっておくものだな~と断捨離が苦手な私にもいいことがあるものだと思いました。
その後は保育園で使う作りものをお見せしました。
グローブシアターやペープサートは実際に持って歌を歌ったりしてちょっと恥ずかしかったですが、どんな感じかお伝えできたかなと思います。
細かいところまで撮影するために、レンズを変えたり持ちかえたりしていました。
制作物たち、かわいく撮ってもらえたかな。
保育士の待遇を知ってもらうため、給与明細も思い切って公開
そして、多分メインになるのだろうと思われる、給料明細についてのカットを撮りました。
棚から出すところ、持ってきて見せるところなどを撮影していました。
これについては、全部をお伝えしたいと思う反面、個人情報が満載のないようになりますので、細かいところがわからないようにご配慮いただくお約束になっています。
普段の生活の様子もちょこっとだけ撮影
その次はパソコンに向かってなんとなく作業をしているところ、そして、帰ってきた息子と話しているところや、玄関でお出迎えするところなどを撮影されて、終了となりました。
残業、書類仕事・・・伝えきれなかった保育士の現実
保育士の仕事の中で書類がたくさんあることをお伝えしたかったのですが、保育士の書く書類はどれもほとんどが個人情報で、自宅で作業することが出来ないものばかりなのです。
なので、残業で仕事をせざるを得ないのですが、無給の残業についてはお伝えする方法がないのが残念でした。
また、制作物については職場に持って行ってしまっているものも多く、持ってきておけばよかったなと思います。
撮影ということに関しては、あとから、
24時間テレビで見るみたいに、みなさんで記念撮影させていただけばよかったとか
息子にカメラ見せてもらえばよかったとか
もっと撮影の様子を写真に撮らせていただけば良かったとか、
いろいろ思いつくのですが、 あの場では、かなり緊張し舞い上がっていましたので、全然思いつきませんでした。
厳しいことだけじゃない、やりがいも大きい保育士の仕事
今回は、記者の方がお上手で、「お話が上手ですね」とか「この才能をもっと生かした方がいいですよ」なんて言ってくれるものですから、なんだか嬉しくなって、たくさんお話しさせていただけたと思います。
保育士の窮状を伝えるだけでなく、保育士の仕事がどんなに楽しいか、保育士として働くことのやりがいも一緒に伝わっていたら良いなと感じました。
今は、保育士といってもフルタイムの仕事をお休みしてお手伝いに徹するパートとして働いていますが、それでも本当は他の仕事の方が稼げるのです。
でも、お金だけではないやりがいを感じているからこそ、このお仕事を続けているし、今後も続けていきたいと思っています。
だからこそ、私の待遇改善にはもう間に合わないかもしれませんが、私の息子を含め
これからの社会を担う中心になっていく若い保育士たちが
少しでも働きやすく、
働きに見合うだけのお給料がいただけて、
将来を悲観せずに暮らしていけるように、
これからも微力ながら発信していけたらいいなと感じる、そんな取材の一日になりました。
最後に・・・
記者さんが持ってきてくださったお菓子。
とってもおいしそうな羊羹です。
記者さんの地元ではなく私の地元で買ったと言われたお菓子は、私の地元(関東地方)のものではなく大阪市阿倍野から来たものでした・・・。
そんなところも憎めない、記者さんでした。
【公式ページ】
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【NHKの放映予定】
2016年11月2日午後6時10分~▽保育士の窮状を教えて 情報発信に現金支給!
著者:
関東在住 40代 女性・保育士