保育士辞めたいの私だ

Suicide Outreach ~保育園という『戦場』で傷つき、生き残り、うつや悩みで辞めたい現役保育士を救済するブログ~

笑えるくらい「大変だった」保育士のエピソード集

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保育園で働いていると、多かれ少なかれ「大変なこと」は起こります。

しかし、ここでは「ちょっとありえない」と笑えるくらい、大変だったエピソードをまとめてご紹介しましょう。

文中に出てくる名前は、すべて仮名です。

72時間徹夜をしてからの運動会

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東京都内のマンモス保育園に勤めているKは2年目の保育士。3歳児のクラスリーダーを任され、毎日の忙しさと戦いながらも誇りを持って仕事をしていました。

Kが倒れそうになったのは10月上旬のこと。10月半ばには運動会が控えており、練習や道具作りで慌ただしい日々が過ぎていきました。Kは初めてのクラスリーダーということもあり、主任保育士の助言を聞きながら、他の先輩保育士の足手まといにならないようにと必死。その姿が評価され、延長もKに期待を寄せていました。

結果、Kは自分の仕事だけでなく、先輩の仕事まで積極的に手伝うようになりました。「もっと頑張っているところを見てほしい!」という強い思いからでした。

衣装作りがなかなか終わらない先輩の手伝いをするために、夜の11時まで残業をして、家に帰ってからは朝方まで自分のクラスの仕事をしました。気づけば3日間、72時間寝ていない……と気づいた時には時すでに遅し。運動会3日前にして、吐き気と目眩がKを襲いました。

なんとかクラスの作り物は間に合ったものの、Kはフラフラ。本当は仕事を休みたいと思ったけれど、直前の打ち合わせなどで毎日忙しい中、「休ませてください」とは言いづらかったのです。

そして迎えた運動会の朝。Kは、吐きけ止めを飲んでなんとか出勤。駅前で会った先輩保育士に心配されながら、なんとか運動会の準備に取り掛かりました。

ダンスにかけっこ、親子競技。フラつきながらも全てやり遂げたK。直後、救急車で運ばれて入院になりました。Kは胃腸炎を悪化させてしまったのです。子どもからもらうお腹の風邪ですが、度重なる睡眠不足と過労により、症状は次第に悪化していたのですね。

結果、1週間ほど入院することになったそうです。運動会を完遂したいという使命感が、保育士の体を壊してしまったエピソードです。

 

掃除、掃除、掃除。終わらない掃除……

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保育士の仕事の1つに、掃除があります。トイレ、調乳室、沐浴室、保育室、子どもが遊ぶ玩具の消毒などなど。常に衛生的な環境を保つ必要がある保育園では、掃除も重要な業務の1つです。新人の保育士は特に、掃除のやり方から教わることが多いですね。

しかし、あまりにも過酷な掃除ラッシュに「もうやだー!」と泣きたくなること……ありませんか?

 

新人のY子は0歳児のクラス担任。赤ちゃんが大好きだったので、乳児のクラスに配属が決まった時は大喜びでした。

しかし、赤ちゃんの保育は想像以上に大変。ミルク作り、おむつ替え、寝かしつけ。みんなリズムがバラバラなので、代わる代わる子どもたちをオムツ替えに連れていくだけで疲れてしまいました。

夏になると、クラス内で感染症が流行。相次ぐ嘔吐と下痢に、保育士もマスクをしながら対応しました。この日はY子と同じ0歳クラスのリーダー保育士が有給を取っており、パートのHさんと、主任保育士の補助でクラスを回すことに。

実質、新人のY子がリーダーとなって動かなくてはいけません。

しかし、事件は起きました。

午睡の直前、クラスでいちばん月齢の高い女の子が嘔吐。パートのHさんは給食の片付けをしていましたが、手を止めて着替えと検温、掃除を優先しました。

トイレで7ヶ月のG君のおむつ替えをしていたY子は、すぐにオムツ替えを終わらせて保育室にかけつけようとしましたが、なんとそこで、G君のうんちがトイレ中に飛び散ってしまったのです。G君もお腹を壊していたのですね。

自分の着替え、トイレ掃除、G君のケア、嘔吐をしてしまった子のケア、保護者への連絡、感染予防のための消毒、午睡の前でぐずっている子たちの寝かしつけ。

一気にやることが舞い込んできて、Y子は泣きそうになりました。結局、主任先生だけでなく、園長や隣のクラスの保育士の助けも借りて、その場は収束。新人保育士のY子には、荷が重すぎる出来事でした。

しかし保育園では、担任が1人休んだだけでこういったことが起こります。

 

園長先生のご機嫌取りにストレス

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最後にご紹介するエピソードは、人間関係のお話。

女だらけの職場、ぶつかり合うプライド。保育士が抱える人間関係のストレスは、計り知れないものです。

 

R先生は保育士20年目。今年は主任保育士2年目です。

そんなベテランのR先生には、悩みがありました。なかなか職場では言いづらいことでしたが、園長先生の性格には困っていたのです。

園長先生は代々続く保育園経営者の家系に生まれたお嬢様。自分で料理をしたことも洗濯をしたこともないし、面倒なことはお手伝いさんがやってくれたという「かなり癖のある人」でした。

しかし、そんな癖のある人でもトップに君臨できるのがこの業界。一般企業だったら許されないことでも、閉鎖的な保育業界であれば許されてしまうのです。

R先生はじめ、他の保育士が悩んでいたのは園長先生のご機嫌取りでした。日々の保育から始まり、一番大変なのは職員会議。すべての職員が平等に意見交換をするはずの場であるにも関わらず、園長先生は自分が気に入らない意見が出ると「私、もう知らないわ」と言って、園長室に篭ってしまうのです。しかし、園の代表者が不在では会議が進行できません。仕方なく主任のR先生が園長室のドアをノックし、「先生、先ほどはすみませんでした。会議に出ていただけませんか?」と頭を下げるのです。

また、行事の前も一大事です。

「保護者に対して完璧なものを見せたい」「子どもたちは美しく整列させたい」と、ひと昔前の保育観に縛られている園長先生。練習は鬼のような形相で監督しています。

さすがに子どもたちに手をあげることはしませんでしたが、保育士のお尻をバシーン!と叩いて「あなた、何考えてるの!?全然っダメですね!!」と大声で怒鳴り散らすのです。それを見ていた新人の保育士は、怖さのあまり真っ青になってしまいました。

R先生は、もう今年でこの保育園を辞めるつもりでいるそうです。子どもたちは可愛いし、伝統ある園で保育を行えるのは嬉しいけれど、子どもの顔よりも園長先生の顔色ばかり伺う日々に疲弊し「自分の仕事って何なんだろう?」と立ち止まって考えてしまったとのこと。

ベテランの先生をも追い込んでしまう保育園の人間関係、本当に恐ろしいです。

 

保育士の「大変」エピソードは一般社会人にとってはネタ

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保育園で働く保育士は、日々「ありえない」ことと戦っています。

異業種の友人に話をすると「え!?そんなこと実際にあるの!?(笑)うける!」と笑われますが、当事者にとっては笑い事ではありません!

こんな深刻なストレスに晒され続ければ、心を病んでしまう保育士が増えるばかりです。

保育士不足の解消を!なんて世間では言っていますが、長時間労働、責任の重すぎる仕事、深刻な人間関係によるストレス。そういったものが無くならない限り、保育士の離職率は高まる一方ではないでしょうか。そして、待機時問題も改善されないままでしょう。

 

世間には知られていない保育士の苦労。まずは行政の方々に知っていただかなくてはいけません。

そして保育士自身も、「子どものためだから」と考えて無理をするのは禁物です。

自分の心と体が壊れたら人生が台無し。

新しい職場探しも視野に入れて、無理のない働き方を模索しましょう。

 

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(著者:東京都在住 20代後半 女性 元保育士 / 参考サイト:逃げない転職。都内の保育園に一括応募できるサイト)

 

※『私、保育士辞めたい。』は、すべての記事が保育士経験者や、現役の保育士によって書かれています。実体験を元にした、保育の現場の声が、一人でも多くの方にお届けできればと願っております。