少子化対策から保育士はもっと優遇されなければなりません
なぜ日本では「待機児童問題」が深刻なのか
現在、日本で未就園児を預かる施設はほぼ保育園になっています。
保育園は両親ともに共働きであることが求められているので、育児休暇明けに入る以外の入り方、
たとえば派遣社員だったので一度退職して復職したいとか、子どもが少し大きくなったので働き始めたいと言ったニーズに対してとても入りにくくなっています。
乳幼児期の子どもを1人で待たせることはできませんから、保育園に入れる前日まで仕事をすることは不可能なのに、働いてなければ入所できないシステム。
これにどれだけのお母さんが悩まされてきたことでしょう。
少子化対策の成功例を見てみよう:フランス
少子化対策に一定の効果を出しているとして評価されている、数少ない国の中にフランスがあります。
フランスでは国際的にも手厚い保育サービスが特徴とされています。
子どもが多ければ多いほど有利な課税方式の導入や、事業所内託児施設、託児所等の増設などの新しい制作が発表され次々に実行されていきました。
なかでも、フランスの保育政策で有名なのは保育学校です。
フランスの少子化対策成功の鍵、保育学校とは?
小学校の敷地の中にありますが、義務教育ではありません。でも希望すれば三歳になる年から入学させることができます。
日本でいう幼稚園ですが、ほとんどが公立ですので費用も安く抑えられています。
また、小学校には託児施設が併設されているので、働いている両親の子どもたちは保育学校の前後はココで預かってもらうことができます。
同じ敷地内にあることで親の送迎の心配もなく、安心して預けられますね。
保育学校の効果を高める、両親の育休期間
この3歳からの保育学校を機能させるための施策がもうひとつあります。3歳までは両親のどちらかが育児休業をとることが出来ると決められています。
このことから、早期の復職を希望している人以外は復職の際の預ける場所について悩まなくて済むのです。
では3歳前に復職をしたいと希望している場合はどうなるでしょうか。
この場合、認可保育園に預けることになるのですが、ココは日本同様激戦で働く親の10%程度しか入園できていないというデータもあります。
「保育学校」以外も豊富な選択肢で待機児童をださない
でも、他に一時託児所、保育ママなどの選択肢があります。この保育ママの制度は日本にもありますが、すべての市区町村で行われているわけではないようです。
また、保育ママの資格などについてあいまいで不安や心配をする人も多いようです。
フランスではこういった声から120時間の研修を受けていることなど条件を厳しくし保育ママの資質と地位向上を図っています。
「保育学校」の職員と、日本の保育士はどう違う?
最初に出ている保育学校は公立で国家公務員です。
そのため給与的にも安定していて、保育に専念することができます。
日本のように、小学校以降の先生と幼稚園・保育園の先生の給与に大きな開きはありません。
このようにして、保育にあたる人を増やすときに同時に地位の向上を図ることで、乳幼児期に当たるすべての大人の資質が向上します。
フランスの少子化対策は、ほかにも税制改革や不妊治療、高校までのすべての教育費を無料にするなどの施策がありますが、保育園及び保育関連施設の拡充と資質の向上は間違いなく基本になっています。
両親への金銭面の負担が大きい、現在の日本の子育て
今の日本では子育てはいわば贅沢です。子育てはとてもお金がかかります。子どもを作るか、高級車を買うか、リゾートマンションを買うかと選択するようなものです。
でも本来こどもは社会のものです。将来の国を担い労働力になりきちんと納税する立派な大人を育てることは社会のためになるからです。
少子化対策の前に、まず保育士の処遇改善を
少子化対策を考えるならまず、母親が安心して預けられる保育園及び保育関連施設の拡充が必要です。
そしてそのためには保育士、幼稚園教諭などの保育に関わる人の地位向上が不可欠なのです。
早くそのことに国が気づいて、待遇改善が迅速に行われることを願ってやみません。
そして、そのための後押しになるのは、現在働く保育士たちが、不当だと思われる賃金、働きにくいと思われるところで体と心を痛めながら働くことを辞め、よりよい働き先を探すことだと信じています。