無くならない保育園での事故-最悪の事態を防ぐためには?
保育園での勤務は子どもたちと触れ合うことが多く、やりがいの大きな仕事です。
やりがいが感じられる分、保育士に求められる責任も大きく、1つ1つの命と向き合っていかなくてはいけません。
内閣府の発表によると、2016年には全国の保育施設などで13人の乳幼児が亡くなりました。
できれば起きて欲しくない保育園での事故ですが、もし起きてしまった時にはどうしたらいいのか?
また、そんなことが起こらないための予防策について、保育士や親ができることって何なのか?
今回は考えてみたいと思います。
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著者:きょう /岡山県/30代後半女性/保育士歴9年
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実際に保育園で起きた事故の例
残念なことに、保育施設での死亡事故というのは毎年起きています。
その数は多くはありませんが、それでも「0」ではないんですね。
例えば乳幼児で死亡事故に繋がった例を見てみると、「午睡中に事故が起きてしまった。」という場合もあります。
これには乳幼児突然死症候群(SIDS)が大きく関係しており、普通に寝ていたはずの赤ちゃんの呼吸が突然止まってしまうという、恐ろしい症状です。
これは、原因が特定されておらず、いくつかの仮説があるにとどまっていますよね。
このため、調子が悪いかどうかの判断がつきにくく、一体いつ、どの乳幼児がなるのか分からないようです。
このため、保育施設では十分に予防策を考える必要があります。
他にも、夏になると始まるプール遊びや水遊びも危険が潜んでいます。
人は洗面器の水があればそれだけで呼吸が止まってしまいますよね。
プール遊びという開放的な遊びの中で、子どもの異変にはいち早く気付けるようにしたいものです。
保育士が気をつけるべきポイント・予防策
午睡中というのはとても静かな時間ですよね。
寝息だけが聞こえて、保育士は事務仕事ができる時間でもあります。
この時にまさか、自分の担任の子どもが事故に巻き込まれていると考える保育士は少ないものです。
しかし、実際にSIDSでの死亡例はあります。
このSIDSを予防することは難しいかもしれませんが、それでもできるだけ可能性を減らしていくことはできます。
そのために、保育士にも、保護者の方にも気をつけて欲しいポイントがあります。
・仰向けに寝かせる
・寝ている乳幼児の近くに柔らかいものを置かない
・乳幼児に必要以上に衣服を着せない
・寝ている乳幼児の足の裏を触り反射反応を見る
この4点を確認してみてください。
どれもSIDSの予防にはとても有益とされていて、保育施設では推奨されている方法です。
とにかく、呼吸が阻害されると事故が起きてしまいます。
中には、乳児には寝る時に「おしゃぶり」をさせることをすすめている場合もあるでしょう。
これは家庭との連携が必要にもなりますので、保育施設側だけで対策がとりにくい面でもあります。
寝ていても乳幼児の様子をちょくちょく気にしておく、というのが保育士には必要不可欠な対策でしょうね。
あわせて、保育士は救命救急の講習を受けるのも強くおススメします。
保育施設によっては救命救急の講習に必ず行かせるという対策をとっている保育施設もありますよね。
「子どもの年齢によって心配蘇生の方法は変わる」など、今まで勉強されてきたかと思います。
大切なのは、その知識を実践できるかどうかです。
知ってはいてもできない、では何の役にも立ちません。
救命救急の講習を受けることで、どのくらいの力でどの程度心肺蘇生を行うのか、というのを身近なものにしておくと、重大な事故が起きてしまっても、最悪の事態を避けることができるかもしれません。
事故を防ぐには家庭との連携が大切
少し書きましたが、SIDSの予防には家庭との連携がとても大きな役割をもつ場合があります。
例えば、
・予防接種を受けさせる
・保護者がなるべく喫煙しない
といった予防策は家庭でしかできません。
保護者の中にはSIDSについて詳しい知識を持っていない人も多くいます。
まずは、SIDSというものが何なのか理解してもらいその上で、予防策を保育施設側と一緒になってとっていくことが必要になりますね。
また、先ほど説明した4つのポイントは、自宅でも気をつけていただきたいです。
他にも、重大な事故を避けるためにも、家庭との連携は必要になります。
例えば、こんな事例はどうでしょうか?
保護者の方に
「保育園で履く靴はスニーカータイプのものにしてください。」
とお願いしたとします。
しかし、保護者なかには、何故サンダルがいけないのか分からない方もいます。
「少し考えれば分かるものでしょ?」と保育士の目線で決め付けてはいけません。
「サンダルだと園庭で遊ぶ時にケガをするかもしれません。足先が出ているものだと、爪が割れて大きな事故に繋がることもあるんですよ。」
といったことを、きちんと説明してあげましょう。
どの保護者にしても、自分の子どもが可愛くない人はいないはずです。
保育士が自分の子どものことを真剣に考えてくれていると感じれば、保護者も信頼を寄せてくれます。
根気よくこういったことを続けていくことで、重大な事故から子どもたちを守ることができるんです。
まとめ
子どもと関わるということは、保護者に代わって監督責任があるということです。
毎日、緊張して子どもと過ごせというのではありませんが、ある程度の知識と覚悟が必要な職場だということが分かっていただけたかと思います。
事故が起こるか起きないかは、誰にも分かりません。
しかし、事故が起きないようにする予防は誰にだってできます。
他人の命を預かっているんだという自覚を持って、保育に取り組んでくださいね。