【2017年】保育士の処遇改善ってどれくらい進んでるの?
「待機児童問題の解消のため、保育士の処遇改善を行っていきます!」
なんて言葉、もう聞き飽きていませんか?
確かに、こういった公約を掲げて努力してくれているんでしょうが、現場レベルで保育施設の待遇が変わったと実感できている人は少ないのではないでしょうか?
相変わらずサービス残業も持ち帰りの仕事も当たり前!な毎日です。
ですが、それでも一歩ずつ改善が進んでいるのは事実です。
実際のところ、2017年で保育士の処遇改善は具体的にどこまで進んでいるのか、見ていきましょう!
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著者:きょう /岡山県/30代後半女性/保育士歴9年
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2017年から最大4万円月給アップ!!
月給が4万円UPするとなればこれ以上嬉しいことはありませんよね。
2017年2月に内閣府が正式決定したものによると、全ての保育士の月給をUPさせることが決まりました!
これは月給の2%の上乗せとなっており、金額にすると大体6000円程度ですね。
まあ上がらないよりはいいことですので、とりあえず喜びましょう。
「それじゃあ月給4万円UPはまた別の話?」と聞かれるとそうではありません。
何でも各保育園(民間)を対象に、新しい役職を設けるように通達するんだそうです。
その役職は「副主任保育士」「専門リーダー」「職務分野別リーダー」です。
この3つは何なのか?というと、勤続7年以上の保育士を対象にした新しい役職で、キャリアアップ研修を行えばなることのできるものです。
どうやら勤続8年目で退職してしまう保育士がたくさんいるようで、これに歯止めをかけるためのものですね。
この役職に就くと、さらに上乗せで手当がもらえるんですね。
「これって保育施設によっては、勤続7年以上の保育士がたくさんいる所もあるんじゃないの?不公平!」って思われるかもしれませんが、そうではありません。
この新しい役職には、人数制限があるんです。
それは何人かというと、園長と主任保育士を除き、それ以外の保育士さんの人数のおおむね3分の1となっています。
つまり、職員が30人いれば10人までとなっています。
しかし、国からは一括で補助が支給されるので、分配は園長やその保育施設の施設長の判断にゆだねられる部分が多いです。
なので、この役職の人にだけ月給UPにしてもいいし、月給UPの補助金を全職員で頭割することもできるんです。
東京都の保育士は日本の平均年収到達へ!?
内閣府の政策もすごく頑張っていますが、どこか不透明感が否めないですよね。
というのも、キャリアアップ研修の実施を受けて役職に就いたとしても、月給が4万円、絶対に上がるとは限らないからです。
最後は新しい役職に園長が任命して、そこからその補助金をどう配分するのか決めるわけですから、施設長や園長が月給の実験を握っている状況です。
こんなことは言いたくありませんが、「役職をもらっていて責任は増えたけど、その貰えた補助金は頭割にされてやる気が更に失われる」といったこともあり得なくはありません。
更に、「補助金を本当に保育士に還元しているの?」と言った声も聞こえてきます。
最後は施設長の判断です。
補助金を貰ってそれを保育士に還元せず、違うことに使うこともありますよね。
保育士への補助金の還元はとても不透明と言えます。
そんな中、東京都は一律で保育士の月給を2万円UPすると決めたんですよ。
これって一体どのくらいの威力があるのか?というと、何と、保育士の月給がようやく、女性の平均月給(他の職種も含む)に到達することになるんです!
東京都は以前にも2万円の上乗せ政策を実施しているので、2016年までは女性の平均月給が大体22万円程度でした。
ここに、先ほどの6000円とベテラン向けの4万円、そして今回の2万円を足すと、
ベテランの方で29万円程度、一般の保育士さんでも25万円程度の月給になると予想されます。
東京都の女性の平均月給が約27.7万円ですので、平均すればほぼ同じになりますね!
賞与などの開きが施設でありますので、皆が皆、ではありませんが、それでも月給が2万円多くなるとなれば、もう少し続けてみようかな…と思う保育士さんは多くなるはずです。
素晴らしい政策を打ち出すには東京都ならではの背景もあるんです。
それは待機児童の数が東京都は群を抜いて1位だということです。
どれだけ頑張ってお仕事を探しても、子どもを預けることができなければ復職の妨げにもなりますよね。
これをどうにかするには、保育施設の数を増やすことよりも、まず保育士の数を増やす!
これなんです。
建物がいくらあっても、そこに働く保育士野数が少ないのでは何の解決にもなりません。
なんせ保育士1人に受け持つことのできる子どもの人数は決まっています。
待機児童の数を減らすには、保育士の数を増やすのが一番の解決方法なんですね。
保育士の処遇改善に積極的な自治体
保育士の処遇改善に積極的な自治体というのは、待機児童の数も少ないという傾向があります。
これは明らかに、保育士の離職率が減っているからであり、保育士がいれば待機児童も減っていくという明らかな証拠です。
一番有名なところで言えば「横浜市」ではないでしょうか?
横浜市も深刻な待機児童問題を抱えていました。
その待機児童問題を解決したのは、保育士の処遇改善に力を注いだからです。
この横浜市の例を見習って、他の自治体でも同じように処遇改善を取り組んでいます。
例えば
- 東京都
- 千葉県
- 埼玉県
などです。
首都圏に集中しているのはそれだけ待機児童問題が、無視できないレベルになってきている証拠です。
東京都の中でも足立区や千代田区、世田谷区では保育士の処遇改善に積極的に働きかけています。
こうなると、区や市を変えれば、保育士が働きやすい環境で働ける、となりますよね。
自治体が積極的に保育士の処遇改善を考えていない場所で働きたいと考える保育士も当然少なくなるわけです。
こうなると自治体で格差が生まれます。
格差が生まれた自治体はどうにか保育士の処遇改善をしよう!と働きだすはずです。
こうした良い波乗効果をこれから期待していきたいですよね。
まとめ
京都府では保育士の平均年収が一番高いという統計があります。
これに合わせて待機児童数を見てみると、京都府はとても少ないのです。
この結果に全てが出ていますよね。
今、一番必要とされている保育士は、処遇さえ改善されればもっと働く人の数も増えると思います。
国も自治体も、保育士の処遇改善に積極的に動き始めています。
問題は山積みですが、やりがいの大きな保育士の仕事を続けていくためにも、国や自治体にはこれからも期待していきたいものですね。